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もう一度だけ

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季節(とき)はいつしか、あの頃に続く
鮮やかな空 匂い立つ風と
そして歌ってくれた、あの歌を
もう一度だけ あなたに逢いたい

日ごと夜ごとに慕(つのる)想いは
私のなかで仄かに揺れる
抱かれるように眠りつくけど
朝の涙が待ち構えているだけ

あなたの歌を、わたしが歌っても
細く寂しく聴こえてくるだけ
沈丁花なら、そろそろ咲くころ
もう一度だけ、聴かせてくださいますか

季節(とき)の後道(あとみち) 振り返ってみても
落ちた恋花、無残に広がる
綺麗にかたどる、想い出でもいい
それが私の生きるすべならば

ふと手を止めて、この手を眺める
愛した人の名が零れる
包み込まれて、ここまで来たけど
刻まれた傷、それは哀憐の日々

あなたの歌を、わたしが歌っても
細く寂しく聴こえてくるだけ
沈丁花なら、そろそろ咲くころ
もう一度だけ 聴かせてくださいますか もう一度だけ

2022 2 14

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