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世界で一番恐いラヴソング

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昼下がりに内線が鳴り
取ろうとしたら他の誰かが取り
聞けば話ながらも大笑い
随分楽しそうだな おい

どうせ俺には多分無関係
やりかけ止まった仕事を再開
良い感じ進みかけた時に
喧しい内線が振られてきた

声の正体はまさかの元部長
忽ち内線が内戦に変わる
『おまえのために』勧めるガン保険
誰にも負けない愛の詩が受話器に鳴り響く

『独身だろ』『金あるだろ』
『部の娘とどうだ』
セクハラ・モラハラ・パワハラ
鏤められたハーモニー
理詰めの敵に丸腰の俺 多勢に無勢過ぎ
言われるまま 請われるまま 話は止まらない
署名するまで終わらない
世界で一番恐いラヴソング

窓口に行けば既に数珠繋ぎ
引き吊る笑顔に☆ミの瞳
聞こえる会話は一方通行
扉の向こうは恐怖のオンステージ

色黒野郎が扉に喰われて
部屋から出てくりゃ綺麗に真っ白
決死のライブへカウントダウン
明日は我が身か そこまで待てない

部屋に入った瞬間から炸裂
電話と同じマシンガントーク
『おまえのために』勧めるガン保険
誰にも負けない愛の詩が部屋中鳴り響く

『部の娘の替わりに俺が枕営業しようか』
洒落にならない 願い下げたい 恐怖のプロポーズ
埒が開かない こうなったら腹を括ってやる
やり方が出鱈目なのにまともな内容
署名するまで終わらない
世界で一番恐いラヴソング

広げられた契約にはかつての内容
20日以上入院でやっとこさ支給
通院で治療が当然の今日じゃ
割に合わない 報われない 酷い無駄遣い
署名した方が増しらしい
世界で一番恐いラヴソング

上司だったあの頃では想像出来ない笑顔なのに
視線だけはまるで笑ってない
その割には署名後に聞こえた『ありがとう』
他人事では考えられない穏やかな響き
署名するまでの殺気がヤバい
世界で一番恐いラヴソング

皆さん、クリスマスはどうでしたか?
愛に溢れていましたか?
何もホテルでギシアンだけが愛ではありません。
少し恐い形ではありましたが、私も愛のある
クリスマスを迎えることが出来ました。
歌とは別にもうひとつ恐い話がありましたが。

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行きつけのスナックに歌手の方がお見えになるそうで
お土産を持って遊びに行くことにしました。

件の歌手の方、『せっとん』としましょう。
店に入るとせっとんが『クリスマス・イブ』を
丁度歌っている最中でした。

♪雨は夜更け過ぎに 雪へと変わるだろう…

いつもの烏龍茶を頼んでお絞りで顔を拭きつつ
じっと聴き入ります。

♪パーパパーパー パーパパーパー…

ふと見ると、せっとんがこちらを見ています。
それも、ニヤリと笑いながら。

♪パーパパーパー パーパパーパー

やがて、私にマイクを向けて来ました。

♪◯◯パパパーパーパーパーパー◯◯
♪◯◯パパパーパーパーパーパー◯◯
♪◯◯パパパーパーパーパーパーパパ
♪パーパーパーパパパーパパパーパー
♪パーパパパーパパパパパパパパパパ
♪パーパパパーパパパパパパパパパパ
♪パーパパパーパパパーパー◯◯パー
♪パーパパ◯パパパパパパパパパパパ

…何と言う事でしょう。依りにも依って、
せっとんはあのクソ難しいフレーズを
即興で歌えと振ってきやがったのです。

ええ、やりましたとも。
メロディうろ覚え、息継ぎ無しで大変でしたが、
まあ皆さんお楽しみ頂いた様で何よりでした。

仕返しに『松田聖子』ならぬ『松うら邪子』になって
『♪大切なあ~な~た~』と抱き憑いて
キス寸前まで顔近づけて歌ってやったなんて
口が裂けても言えません(ので書いてみた☆)。

さて、音源を出さずに至りましたが
今年一年お世話になりました。
来年も緩くやっていこうかなと思います。
生暖かくお見守り頂ければ幸いです。
それでは、良いお年を。

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