/

遠き初恋

  • 98ビュー

朱(あか)い襦袢に紅引いて
もみじもそろそろあかいころ
故郷(さと)を遥か遠く見て
目に焼き付いたはずが
薄れゆく初恋のひと

いつか抜けてやるんだよ
この胸叩いてはっぱ掛け
くちびる噛めば紅は落ち
鏡に写る水化粧
涙をこぼす余裕なく

茶屋の格子は厚い壁
後ろの席で待つばかり
前を張るには年期じゃない
あにさん、あにさんこっちだよ

花魁道中、花咲かせ
遊郭(くるわ)てっぺんの夢でも
これがあたしの生きる道
ときおり霞めとおる
薄れゆく初恋のひと

この身、買われたとても
芯から奪われまいと
才気の面をつけて
今日も紅ひく筆を持ち
根性魂、伏せ隠し

茶屋(ちゃや)の格子は厚い壁
いつか大門(おおもん)くぐって
会いにゆきたや、初恋の
ひとにはもう逢えないだろね

あにさん、あにさんこっちだよ
あにさん、あにさんこっちだよ

ぺん

コメントを読むにはログインが必要です。

この作者の他の作品